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静岡地方裁判所浜松支部 昭和51年(ワ)65号 判決 1976年11月29日

主文

一  被告村木は

原告富保に対し 二、一三〇万円

原告正典に対し 四二一万円

原告みつゑに対し 六六万円

および右各金員についてそれぞれ昭和五〇年四月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告協同組合は

原告富保に対し 二、一三〇万円

原告正典に対し 四二一万円

原告みつゑに対し 五九万円

および右各金員に対しそれぞれ昭和五一年三月一四日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らのその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は一〇分し、その四を原告らの、その六を被告らの、各負担とする。

五  この判決は、原告らにおいて、第一、二項にかぎり、仮に執行することができる。

被告らは、それぞれ担保として原告富保のために金一、〇〇〇万円、原告正典のために金二〇〇万円、原告みつゑのために金三〇万円を供託することにより、右仮執行を免かれることができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告ら

「被告村木は原告富保に三、〇九九万円、原告正典に一、四八九万円、原告みつゑに七七万円、

被告協同組合は原告富保に二、八八四万円、原告正典に一、一四〇万円、原告みつゑに五九万円、

ならびにこれらそれぞれに対する昭和五〇年四月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。」との判決ならびに仮執行の宣言。

二  被告ら

「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決ならびに被告ら敗訴の場合の仮執行免脱の宣言。

第二原告らの請求原因

一  (事故) 昭和五〇年二月一一日午前一一時頃浜松市高林町八五二番地の一地先道路において、被告村木運転の自家用小型乗用車が通り合わせ、山岸七枝、山岸士朗それに山岸由佳と接触した。このため同日最初に七枝が、次いで士朗が、そして最後に由佳が死亡した。

二  (自動車の使用) 右乗用車は被告村木の所有であり、同人が自分の用事に使用していた。

三  (死亡者と原告ら) 原告富保と亡七枝は夫婦であつて、二人の間には三人の子供があつた。原告正典は長男で昭和四二年生れ、亡由佳は長女で昭和四四年四月二〇日生れ、亡士朗は二男で昭和四五年九月二六日生れである。亡七枝は昭和一六年三月一八日生れで主婦として家事に従事していた。原告みつゑは亡七枝の母である。

四  (損害) 右事故による損害は次のとおりである。

(一)  治療費等 一五万円

原告富保が支出した。

(二)  亡七枝の逸失利益 一、八四六万円

その算出方法は別紙第一のとおり。

(三)  亡七枝本人の慰藉料 六〇〇万円

(四)  亡士朗の逸失利益 一、五四九万円

その算出方法は別紙第二のとおり。

(五)  亡士朗本人の慰藉料 四〇〇万円

(六)  亡由佳の逸失利益 九四五万円

その算出方法は別紙第三のとおり。

(七)  亡由佳の慰藉料 四〇〇万円

(八)  葬儀費用 一二〇万円

原告富保が支出した。

(九)  原告ら近親者の慰藉料

(1) 亡七枝の死亡によるもの

原告富保 五〇〇万円

原告正典 三〇〇万円

原告みつゑ 一〇〇万円

(2) 亡士朗、亡由佳の死亡によるもの

原告富保 各三〇〇万円

五  (相続)

(1)  前項の損害のうち(二)と(三)の亡七枝の損害合計二、四四六万円は、相続により

原告富保(三分の一)に 八一五万円

原告正典(三分の二)に 一、六三一万円

帰属する。

(2)  亡士朗の損害(前記(四)と(五))合計一、九四九万円および亡由佳の損害(前記(六)と(七))合計一、三四五万円は、いずれも相続により原告富保に帰属する。

六  (弁済受領)

上記の損害を原告別にまとめると、

原告富保 五、三四四万円

原告正典 一、九三一万円

原告みつゑ 一〇〇万円

となる。

ところで本件事故について、自賠責保険から合計三、〇一六万三、〇八〇円、被告村木から治療費および葬儀費用として一一六万三、五〇〇円が支払われた。合せて三、一三三万円を越えない。自賠責保険金のうち一六万三、〇八〇円は治療費に対して支払われた。

右弁済受領額のうち、亡七枝の死亡に対する自賠責保険金一、〇〇〇万円をのぞく、その余はすべて原告富保に帰すべき損害に対する支払とみるべきであるから、同人の損害に充当し、右一、〇〇〇万円は、亡七枝に関する逸失利益および慰藉料合計三、三四六万円が原告らに配分される割合(富保一、三一五万円、正典一九三一万円、みつゑ一〇〇万円の割合)で原告らに配分し、原告富保三九三万円原告正典五七七万円、原告みつゑ三〇万円を各損害に充当する。

そうすると原告らの残損害は次のようになる。

原告富保 二、八一八万円

原告正典 一、三五四万円

原告みつゑ 七〇万円

七  (弁護士費用)

原告富保 二八一万円

原告正典 一三五万円

原告みつゑ 七万円

八  (被告村木に対する請求)

結局原告らの損害額は次のようになる。

原告富保 三、〇九九万円

原告正典 一、四八九万円

原告みつゑ 七七万円

被告村木は自賠法第三条にもとづき、原告らに右各金員およびこれらについて事故後の昭和五〇年四月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払う義務がある。

九  (被告協同組合の責任)

(一)  被告協同組合は昭和四九年一二月二一日被告村木との間に本件乗用車について自動車共済契約を結んでいた。その内容は被共済者を被告村木とし、共済期間を昭和四九年一二月二一日から昭和五〇年一二月二一日とし、その間の右乗用車による他人の生命又は身体を害したことによつて生じた損害賠償責任を目的として、共済金額二、〇〇〇万円の限度で、共済金を支払うもので、共済事故が生じた場合に被告協同組合が支払う共済金の額は、一回の事故による損害に対し、被共済者が支払うこととなつた損害賠償金の額に相当する金額であるが、被害者一名ごとの共済金の額が対人賠償共済金額をこえる場合には、右共済金額に相当する金額とする定めであつた。

(二)  したがつて、被告協同組合は本件事故について死亡者一人ごとに二、〇〇〇万円まで総枠六、〇〇〇万円の限度で共済金を被告村木に支払う責任がある。

(三)  ところで原告らは被告村木に対し前記損害賠償債権を有するが、被告村木は無資力であるので、右債権保全のため被告村木に代位して、被告協同組合に右共済金の支払を求める。あるいは右共済契約は原告らのためにしたものとみられるから、原告らは直接右支払を求めうる。

一〇  (被告協同組合に対する請求)

上記損害を被害者別にまとめると別紙第四のとおりとなる。治療費、葬儀費、弁済受領額、弁護士費用はいずれもそこにしるしたとおり各死亡者に配分される。

そうすると、被告協同組合は(一人につき二、〇〇〇万円の限度で)

亡七枝について生じた損害 二、〇〇〇万円

亡士朗について生じた損害 一、三七四万円

亡由佳について生じた損害 七〇九万円

を支払うべきであり、それを原告らに配分すると、

原告富保は亡七枝の分のうち八〇一万円と亡士朗、亡由佳の分各全部、合計二、八八四万円

原告正典は亡七枝の分のうち一、一四〇万円

原告みつゑは亡七枝の分のうち五九万円

の請求額となる。

よつて被告協同組合は、原告らに対し各右金員およびそれらに対する本件事故後の昭和五〇年四月一日から完済まで年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。原告らはその以前からも請求している。

第三被告らの主張

一  (原告らの請求原因の認否)

請求原因のうち、一ないし三の事実、ただし原告みつゑの身分関係をのぞく、は認める。原告みつゑの身分関係は不知。

四のうち(一)は認める。(二)ないし(九)は争う。

五のうち相続関係は認めるが、金額は争う。

六のうち受領金額は認めるが、充当関係は争う。

七、八の事実は争う。

九のうち(一)の共済契約が結ばれたこと、その内容が原告ら主張のとおりであることは認める。(二)、(三)は争う。死亡者三名の共済金の総枠が六、〇〇〇万円となるわけではない

一〇の事実は争う。原告らが昭和五〇年四月一日以前に被告協同組合に共済金の支払を請求したとの主張事実は否認する。

二  (原告らの損害額の算出について)

本件のような損害賠償請求事件においてはその損害額が具体的に妥当であると共に法的安定性をもつた額でなければならない。そのためには損害額の算定にあたつて、できるだけ蓋然性の高い数額をえらび、その蓋然性に疑いがあればなるべく控え目な額にする必要がある。そういう見方に立つて原告らの算出方法をみると、次のような問題がある。

(一)  逸失利益を算出するため賃金センサスを使うのに、昭和五〇年、五一年のセンサスがないため、四九年度のセンサスに各年度の賃上げ率を掛けているが、このように賃上げ率を考慮するのは妥当でない。特に本件のように主婦や幼児の場合は考慮すべきでない。

(二)  中間利息を控除するのにホフマン式によつているが、本件のようにいずれも三〇年以上にわたる期間の場合はライプニツツ式によるのが適当である。

(三)  亡七枝、亡由佳の逸失利益を算出するのに家事労働の分を賃金センサスによる分以外に考慮しているが、妥当でない。男女間に格差があるのは事実としてやむをえない。

(四)  亡七枝の逸失利益算出にあたつて、生活費の控除を四割としたのは、少なすぎる。五割とすべきである。

(五)  慰藉料の額が亡七枝について一、五〇〇万円、亡士朗、亡由佳について各七〇〇万円とされているが過大である。亡七枝七〇〇万、亡士朗、亡由佳各五〇〇万とするのが適当である。

第四証拠〔略〕

理由

第一  前堤となる事実(事故等)

原告の請求原因一ないし三の事実は、その中の原告みつゑの身分関係をのぞいて、当事者間に争いがなく、原告みつゑの身分関係は成立に争いのない甲第一、第三号証によつて認めることができる。

第二  損害について

一  本件事故による損害は次のとおり認められる。

(一)  治療費等 一五万円

死亡者三名について治療費等として一五万円を下らない額を要したことは当事者間に争いがなく、それらは原告富保の負担すべきものと推認される。成立に争いのない甲第四ないし第八号証によれば、右一五万円のうち亡七枝の分が三万円、亡士朗の分が四万円、亡由佳の分が八万円となることが認められる。

(二)  亡七枝の逸失利益 一、五五〇万円

原告ら主張の別紙第一の計算方法を、その中の中間利息の控除方法についてホフマン式でなくライプニツツ式を用いることにして、採用する。そこでの女性の賃金事情は成立に争いのない甲第一二号証、第四九号証、原告富保本人尋問の結果によつて成立が認められる甲第一四、第一五号証によつて原告ら主張のとおり認める。なお中間利息の控除方法については三〇年以上の長い期間にわたるのでライプニツツ式によるのが相当である。生活費の控除は四割が適当である。時間外労働は、女性の賃金が男子に比して低いこと、女性には他に家事労働があることから、原告ら主張のように加算する。そうすると、亡七枝の逸失利益は五〇年分が八六万三、四九四円(原告らの計算のとおり)、五一年以降の分が一、四六四万〇、四二〇円(ライプニツツ係数は一五・八〇二六から〇・九五二三を引いた一四・八五〇三)で合計一、五五〇万円を下らない。

(三)  亡七枝本人の慰藉料 四〇〇万円

(四)  亡士朗の逸失利益 九七六万円

原告ら主張の別紙第二の計算方法に、中間利息の控除方法をホフマン式からライプニツツ式にすること、養育費は年間一二万円とすることの二つの変更を加えて採用する。ライプニツツ式にする理由は前記のとおり。

養育費についてはライプニツツ式を採る関係で年一二万円とする。賃金事情については亡七枝の場合と同じ証拠による。そうすると亡士朗の収入損は一、〇九七万〇、九三九円(ライプニツツ係数は一九・〇二八八から九・八九八六を引いた九・一三〇二)、控除すべき養育費は一二〇万七、八三二円(ライプニツツ係数九・八九八六)でその逸失利益は九七六万円を下らない。

(五)  亡士朗本人の慰藉料 三〇〇万円

(六)  亡由佳の逸失利益 六七二万円

原告ら主張の別紙第三の計算方法に、亡士朗の場合と同じ変更を加えて採用する。

養育費、賃金事情も亡士朗の場合と同じ。そうすると、亡由佳の収入損は七八七万六、〇一〇円(ライプニツツ係数一八・九八〇二から九・三九三五を引いた九・五八六七)、控除すべき養育費は一一四万七、二二〇円(ライプニツツ係数九・三九三五)で、その逸失利益は六七二万円を下らない。

(七)  亡由佳本人の慰藉料 三〇〇万円

(八)  葬儀費用 一〇〇万円

亡七枝について四〇万円、亡士朗と亡由佳について各三〇万円を相当と認める。成立に争いのない甲第一八号証の一、二、原告富保本人尋問の結果によつて成立が認められる第一八号証の三ないし三二によると、合計一五六万余円が支出されていることが認められるが、そのうち三名合計一〇〇万円の限度で認容し、その余は排斥する。それらはすべて原告富保の負担すべきものと推認される。

(九)  原告ら近親者の慰藉料

(1) 亡七枝の死亡によるもの

原告富保 三〇〇万円

原告正典 二〇〇万円

原告みつゑ 一〇〇万円

(2) 亡士朗および亡由佳の死亡によるもの

原告富保 各三〇〇万円

なお慰藉料については死亡者本人の分と近親者の分とを合せて、亡七枝について一、〇〇〇万円、亡士朗および亡由佳について各六〇〇万円を相当とし、原告らの請求のうち、右限度で認容する。それらの死亡者本人および原告らへの配分は上記のとおりとする。

二  相続について

(一)  前記損害のうち亡七枝に関する(二)と(三)(合計一、九五〇万円)は原告富保が九分の七(夫としての相続分九分の三に亡士朗、亡由佳が相続した各九分の二づつを同人らの死亡により相続した九分の四を合せたもの)、原告正典が九分の二の割合で相続するので、

原告富保に 一、五一七万円

原告正典に 四三三万円

が帰属する。

(二)  亡士朗に関する前記損害(四)と(五)(合計一、二七六万円)亡由佳に関する前記損害(六)と(七)(合計九七二万円)は、いずれも原告富保が全額相続する。

(三)  したがつて

原告富保は 三、七六五万円

原告正典は 四三三万円

を相続する。

三  原告らの損害額

右一および二をまとめると、原告らの損害額は、

原告富保 四、七八〇万円

原告正典 六三三万円

原告みつゑ 一〇〇万円

となる。

四  弁済の受領

(一)  成立に争いのない甲第四ないし第一一号証、第三八号証に弁論の全趣旨を加えると、本件事故について、自賠責保険から合計三、〇一六万三、〇八〇円、被告村木から合計一一六万三、五〇〇円、合計三、一三三万円を超えない金員が支払われたこと(右金額が支払われたことは争いがない)、右保険金のうち三、〇〇〇万円は死亡者三名についてその死亡に関し支払われた各一、〇〇〇万円の合計であり、残一六万三、〇八〇円は右三名の治療費等であること、村木の支払つたうち一〇〇万円は葬儀費用であり、残りは治療費として、病院に支払われたものであること、が認められ、これに反する証拠はない。

(二)  そうすると、右三、一三三万円は次のように原告らの前記損害に充当される。

(1) 亡七枝の死亡による保険金一、〇〇〇万円は、亡七枝の死亡に伴う損害が前記一の損害のうち(二)(逸失利益)、(三)(本人の慰藉料)および(九)の(1)(原告らの慰藉料)を合算した二、五五〇万円であり、それが前記二の(一)の相続を経て、結局原告富保に一、八一七万円原告正典に六三三万円、原告みつゑに一〇〇万円帰属したので、その原告ら間の割合つまり原告富保七一%原告正典二五%、原告みつゑ四%の割合で、原告らに配分する。そうすると、原告富保が七一〇万円、原告正典が二五〇万円、原告みつゑが四〇万円を受領したことになる。

(2) 亡士朗、亡由佳の死亡による保険金各一、〇〇〇万円はいずれも相続人である原告富保が受領したことになる。

(3) 保険金のうち治療費の分、被告村木の支払つた治療費分および葬儀費分はいずれも支出者である原告富保が受領すべきものである。

(4) 結局三、一三三万のうち

原告富保に 二、八四三万円

原告正典に 二五〇万円

原告みつゑに 四〇万円

が充当される。

五  原告らの残損害

三の損害額から四の受領額を差引くと、残損害額は次のようになる。

原告富保 一、九三七万円

原告正典 三八三万円

原告みつゑ 六〇万円

六  弁護士費用

次のとおり(五の金額の一〇%)認める。

原告富保 一九三万円

原告正典 三八万円

原告みつゑ 六万円

原告富保本人尋問の結果によつて成立が認められる甲第一六号証のうち、右の限度を相当額として認容し、他は排斥される。

七  結局 原告らの請求しうる損害額は五の額に六の額を加算したもの、すなわち

原告富保 二、一三〇万円

原告正典 四二一万円

原告みつゑ 六六万円

である。

第三  被告村木に対する請求について

上記のとおり被告村木は自賠法第三条にいう運行供用者であるから、原告らの請求は、右の原告富保が二、一三〇万円、原告正典が四二一万円、原告みつゑが六六万円およびそれぞれ右各金員について本件事故の後である昭和五〇年四月一日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、理由があり認容される。その余の請求は失当として棄却される。

第四  被告協同組合に対する請求について

一  原告らの請求原因九の(一)の事実は当事者間に争いがない。

(成立に争いのない甲第二〇号証参照)

そうすると、被告協同組合は被告村木に対して本件事故による死亡者一人づつについて二、〇〇〇万円を限度とする共済金を支払う責任があることになる。(その意味では本件共済金の総枠は六、〇〇〇万円となる。)

二  ところで成立に争いのない甲第三一号証によれば被告村木は無資力であることが認められ、これに反する証拠はない。

三  そうすると原告らは、被告村木に対する前記認定の債権を保全するため、同被告に代位して被告協同組合に被告村木の前記共済金債権を請求することができる。なお被告村木が右共済金債権を行使していないことが弁論の全趣旨により認められる。また原告らは右共済契約を原告らのためにする契約とみて原告らが直接請求しうるともいうが、右主張は採用しない。

四  前記認定の損害を被害者別に分けると、

(一)  亡七枝の分は

(1) 治療費(甲第四号証参照) 三万円

逸失利益 一、五五〇万円

本人の慰藉料 四〇〇万円

葬儀費用 四〇万円

近親者の慰藉料 六〇〇万円

合計(+) 二、五九三万円

(2) 受領した共済金 一、〇〇三万円

村木から受領した分 四三万円

合計(-) 一、〇四六万円

(3) 加算すべき弁護士費用(一〇%) 一五四万円

(4) 請求額 一、七〇一万円

(二)  亡士朗の分

(1) 治療費(甲第五号証) 四万円

逸失利益 九七六万円

慰藉料 三〇〇万円

葬儀費 三〇万円

近親者の慰藉料 三〇〇万円

合計(+) 一、六一〇万円

(2) 受領した共済金 一、〇〇四万円

村木から受領分 三五万円

合計(-) 一、〇三九万円

(3) 加算すべき弁護士費用(一〇%) 五七万円

(4) 請求額 六二八万円

(三)  亡由佳の分

(1) 治療費(甲第六ないし第八号証) 八万円

(2) 逸失利益 六七二万円

(3) 慰藉料 三〇〇万円

(4) 葬儀費用 三〇万円

近親者の慰藉料 三〇〇万円

合計(+) 一、三一〇万円

(2) 受領した共済金 一、〇〇九万円

村木から受領 三九万円

合計(-) 一、〇四八万円

(3) 加算すべき弁護士費用(一〇%) 二六万円

(4) 請求額 二八八万円

(四)  いずれも二、〇〇〇万円の限度をこえない。

五  よつて原告らは、第二の七に認定した額を請求しうるところ、原告みつゑは五九万円の限度で請求しているので、右限度で認容される。

また被告協同組合について、共済金支払債務は事故の日すなわち昭和五〇年二月一一日に生ずるが、期限の定めのない債務であつて、原告らから請求のあつたとき、すなわち本件訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和五一年三月一四日から遅滞に陥るものと解するのが相当である。原告らのこれと異なる主張は採用しない。なお原告らが昭和五〇年四月一日以前に請求したと認められる証拠はない。

結局原告らの被告協同組合に対する請求は、原告富保が二、一三〇万円、原告正典が四二一万円、原告みつゑが五九万円およびそれぞれ右各金員について昭和五一年三月一四日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、理由があり認容される。その余は失当として棄却される。

第五  以上の次第で、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九二条、第九三条を、仮執行およびその免脱の各宣言について同法第一九六条を、各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 水上東作)

別表第一

七枝の収入損1,846万円(計算実施期、昭和51年6月)

△(事故昭和50年2月11日当時)33歳、主婦。

△(労働期間)67歳まで。

昭和16年3月生れ。賃金年度の関係上きりのよいところ、昭和50年4月(34歳)~昭和82年3月(66歳)=32年。

△(現価基準日)賃金年度の関係上、事故後に属して事故に近い昭和50年3月末日。

△(中間利息控除方法)民法所定単利年5分を年ごとに控除するホフマン式。

△(女性の労働能力評価一般)1日の労働を、午前8時から午後5時までの定時間労働と、定時間の前後に及ぶ時間外労働に分ける。定時間労働の評価=労働省、賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスにおける、企業規模計、産業計、女子労働者、学歴計、全年齢層平均額相当。

△(女性の賃金事情)賃金センサスの正式発表は、計算実施当時昭和49年度まで。以後の年度については、公知の事実である労働省調査「民間主要企業春季賃上げ率」を適用する。

<1>「定時間労働」

昭和49年度、年間月収額(月収¥75,200×12カ月=)¥902,400+賞与等年間特別給与額¥221,600=年収¥1,124,000。

昭和50年度、昭和49年度年収¥1,124,000×昭和50年度賃上げ率13.1%による倍率1.132=年収¥1,271,244。

昭和51年度、昭和50年度年収¥1,271,244×昭和51年度賃上げ率8.8%による倍率1.088=年収¥1,383,113。

<2>「時間外労働」

昭和50年度、年収¥240,000

昭和51年度、年収¥260,000

△(昭和50年度の収入損)総年収(定時間年収¥1,271,244+時間外年収¥240,000=)1,511,244×生活費損益相殺残(1-0.4=)0.6×当該1年間の現価係数0.9523=¥863,494。

△(昭和51年度以降の収入損)総年収(定時間年収¥1,383,113+時間外年収¥260,000=)1,643,113×生活費損益相殺残(1-0.4=)0.6×当該31年間の現価係数(32年の現価係数18.8060-1年の現価係数0.9532=)17.8537=¥17,601,387。

△以上収入損現価合計¥18,464,881。

別表第二

士朗の収入損1,549万円(計算実施期、七枝に同じ)

△(事故当時)4歳、男性。

△(養育と労働期間)昭和45年9月生れ。

養育、高校卒まで。事故翌日昭和50年2月12日(4歳)~高校卒昭和64年3月(18歳)=14年と2カ月を越えず。

労働、高校卒から67歳まで。高校卒翌月昭和64年4月(18歳)~賃金年度の関係上きりのよい昭和112年3月(66歳)=48年。

△(現価基準日、中間利息控除方法)いずれも七枝に同じ。

△(養育費事情)昭和50年度年間¥480,000。昭和51年度年間¥520,000。

△(養育費)現価基準日まで、昭和50年度事情を越えず年間¥480,000×(50.2~50.3=)2/12年を越えず=¥80,000を越えず。

昭和50年度、50.4~51.3=1年。年間¥480,000×当該1年間の現価係数0.9523=¥457,104。

昭和51年度以降、51.4~64.3=13年。年間520,000×当該13年間の現価係数(14年の現価係数10.4094-1年の現価係数0.9523=)9.4571=¥4,917,692。

以上養育費現価合計¥5,454,796。

△(収入損)全期間昭和51年度以降。

賃金センサス、企業規模計、産業計、男子労働者、新高卒、全年齢層平均、昭和49年度事情は、年間月収額(月収¥126,700×12カ月=)¥1,520,400+賞与等年間特別給与額¥432,600=年収¥1,953,000。

昭和51年度事情、昭和49年度年収¥1,953,000×昭和50年度の倍率1.131×昭和51年度の倍率1.088=年収¥242,403,221。

年収¥2,403,221×生活費損益相殺残(1-0.5=)0.5×当該48年間の現価係数(62年の現価係数27.8456-14年の現価係数10.4094=)17.4362=収入損現価¥20,951,521。

△(収入損と養育費の損益相殺)以上、収入損現価が残り¥15,496,725。

別表第三

由佳の収入損945万円(計算実施期、七枝に同じ)

△(事故当時)5歳、女性。

△(養育と労働期間)昭和44年4月生れ。

養育、高校卒まで。事故翌日昭和50年2月12日(5歳)~高校卒昭和63年3月(18歳)=13年と2カ月を越えず。

労働、高校卒から67歳まで。高校卒翌月昭和63年4月(18歳)~賃金年度の関係上きりのよい昭和111年3月(66歳)=48年。

△(現価基準日、中間利息控除方法)いずれも七枝に同じ。

△(養育費事情)士朗に同じ。

△(女性の労働能力評価一般。女性の賃金事情)いずれも七枝に同じ。

△(養育費)現価基準日まで、昭和50年度事情を越えず年間¥480,000×(50.2~50.3=)2/12年を越えず=¥80,000を越えず。

昭和50年度、50.4~51.3=1年。年間¥480,000×当該1年間の現価係数0.9523=¥457,104。

昭和51年度以降、51.4~63.3=12年。年間¥520,000×当該12年間の現価係数(13年の現価係数9.8211-1年の現価係数0.9523=)8.8688=¥4,611,776。

以上養育費現価合計¥5,148,880。

△(収入損)全期間昭和51年度以降。

総年収(定時間年収¥1,383,113+時間外年収¥260,000=)¥1,643,113×生活費損益相殺残(1-0.5=)0.5×当該48年間の現価係数(61年の現価係数27,6017-13年の現価係数9.8211=)17.7806=収入損現価¥14,607,767。

△(収入損と養育費の損益相殺)以上、収入損現価が残り¥9,458,887。

別紙第四 死亡者別請求額一覧表

<省略>

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